9/7(土)荘銀タクト鶴岡にて開催される『ワッショイ★お祭りライブ』で出演いただくBLACK BOTTOM BRASS BANDメンバーのヤッシーさんに、ニューオリンズジャズへの想いや公演の意気込みをお聞きしました。
※左から、IGGY イギー(テナーサックス)、YUTA919 ユウタ(トランペット)、ANTON アントン(ベースドラム)、TAMOTSU タモツ(スーザフォン)、SEIYA セイヤ(スネアドラム)、YASSY ヤッシー(トロンボーン)
ニューオリンズジャズとの出逢い
ーーBLACK BOTTOM BRASS BANDとして鶴岡で公演を行っていただくのは初めてとなります。ヤッシーさんがニューオリンズジャズブラスバンドを始めたきっかけをお聞かせください。
もともと中学校から吹奏楽をやっていて、吹奏楽ではポップスもジャズも演奏してきました。クラシック音楽も好きでしたが、大人になるにつれてジャズの自由さ、解放的な気持ちを知りました。
そして、みんなで一緒に盛り上がれる音楽というニューオリンズジャズに出会い、初めて感銘を受けて……ブラスバンドでからだを躍らすなんて思ったこともありませんでした。普通のスウィングジャズでは体験できない、踊りたい気持ちになったり、自由な心になったり、想像力がパーンと。もっと世の中が楽しくなるのではないかという気持ちにさせてくれたのがニューオリンズジャズだったんです。
出会いは、Dirty Dozen Brass Band(ダーティー・ダズン・ブラス・バンド)というニューオリンズブラスバンドの日本公演を観た事です。ブラスバンドってこんな楽しいことがあるのか! と思いました。今まで、聴いて楽しいとか綺麗だなと思う事はありましたが、踊りたくなったり、ステージに上がりたくなったり、会場が一つになって仲間になったような経験がなかったので衝撃でした。
確か24歳の頃。その年齢だとある程度のことが分かったつもりでしたが、ニューオリンズジャズを初めて知って世界が広がった、何よりもおもしろいなと思いました。
そこでトランペットのミッチの「ニューオリンズジャズバンドをやってみよう! 」という呼びかけで始まったのがBLACK BOTTOM BRASS BAND。大学の学園祭に出ようという遊び! で始まりました。
僕らは上手でもないけど、演奏を聴いて人が目の前で笑ってくれる、人が喜んでくれるのが嬉しい。もともとストリートでやっていたので、喜んでくれた人は投げ銭(チップ)を投げてくれる。投げ銭(チップ)は、感情の現れだと思っています。
ーー学園祭から始まったBLACK BOTTOM BRASS BAND。結成して30周年となります。
より喜んでほしい、より笑ってほしい、いっしょに楽しんでほしい。その気持ちはいまでも変わらず、もっと喜んでもらう為に何をやろう、と常に考えています。
ニューオリンズジャズの魅力
ーーマーチング形式が特徴のニューオリンズジャズ。他のジャズとの違いや魅力は何ですか?
もともと、ニューオリンズの港町の歓楽街などお酒を飲むところで演奏されていた音楽なんです。
ニューオリンズジャズが根付くきっかけとなった一つとして始まったのがジャズ・フューネラルがあります。ジャズのお葬式ですね。パレードで行われるんですが、歩けるというのがニューオリンズブラスの特徴のひとつ。魅力です。
ーーお葬式というとしんみりとした雰囲気が思い浮かびますが……。
最初、亡くなった方の自宅から教会までは、個人を偲ぶような思いでゆっくりした曲を演奏します。教会でお祈りが終わると音楽は華やかなものに変わります。神様の元に帰っていく友人を「天国に行ったら楽しめよ、好きな事をしてね」などの気持ちと共に、アップテンポの楽しい音楽で送り出すんです。その華やかなパレードは、教会からお墓まで、続きます。僕たちもニューオリンズで著名なミュージシャンのお葬式パレードに参加した事あるんですよ。最初は数十人で始まったパレードが最後は何千人? 何万人が参加して……すごかったです!
ーー気持ちを音に乗せて送りだすのですね! 何万人もを引き連れてのパレード、見てみたいです!
公演・アウトリーチについて
ーー公演の中で、特に学生や地域の吹奏楽団体との共演を取り入れて公演を行うことを大切にされているようですが、その理由をお聞かせください。
吹奏楽の子どもたちがホンマにかわいい!(笑)一緒に楽しもうという気持ちがあります。
楽器を持っている人は友達みたいな気持ちになることが多いので、友達と一緒に音楽をやる。そして、僕らが今まで勉強してきたことや経験してきたことを友達に伝える感覚で「こうやったらおもろいで! 」「こんな吹き方あるよ! 」「こういう事を想像したら……」を全部伝えたいんです。こんな世界もあるよという事を、自分が好きだから教えてあげたい。おもしろいから!(笑) って言って伝えたい。リズム感もそうですけど、心の奥から幸せな気持ちになって、楽しくなれば楽しい音が出るのは間違いないので。そんな気持ちで「イエーイ! 」とか言うと音は一気に楽しくなる!!
でも吹奏楽は演奏するのに技術がいるから、それはなかなか難しいことなんです。楽譜を見なきゃいけないし、構えがちゃんとしてないと良い音が出ない。まず鳴らすこと、操作する必要もあります。でもそれも良いことで、技術が上がる事も魅力的です。その難しさに平行して、心がわくわくするような、例えばカラオケで楽しく歌うような感じ? 僕らはそれを融合したいんです。
ーー楽譜を見てその通りに演奏することも大切なことと思いますが、ヤッシーさんの仰る通り、たまに友達と遊びで楽器を吹いてみたり、ワクワクした気持ちで楽器を吹くとより楽しい音になるような気がします。
普段から吹奏楽をやっている人は感じている人もいるかもしれませんが、もう少し遊び感覚で演奏すると、もっとおもしろくなる。おもろいな……となればなるほど、それぞれが持っている力や個性が輝いて、自分で自分のことをもっと知れて、もっともっと好きになる。
あとは、感動することも大事かな。ぼくらは感動系ではないかもしれないけど(笑)、アウトリーチを体験した後にワクワクに火がついて「これからも楽しく生きていきたいな」とか「こういうことが好きで、こんな道に進んでみたい」とか、できるだけそんな気持ちになってもらうようにしたい。
勉強、仕事、色々大変な事はあるけれど、音楽をやるときの心の中だけは「遊びやねんから! 」と思ってほしいです。
だから、大人の方には小学生の時のような遊び心満載時代に戻ってもらって遊ぶ、そうするともっとおもしろくて優しい街や世界になるのになあなんて思ったりしますよ(笑)。子どもの頃に経験したことはすごく大きいから。
ワクワク楽しい気持ちは、常にあの時の気持ちを増幅させる。そんな力が音楽にはあります。
ーー今回、鶴岡市内4カ所でアウトリーチを実施いただきます。
僕らが始めたころはそういうの(アウトリーチ)はなかった。最近広がりつつありますが、もっと手を伸ばしていきたいです。でもまだまだ難しくて……。
楽しむ、喜ぶという目的もあるけど、僕達が心から楽しいと思わないと子ども達には伝わらないので、今までの経験をフルに活かしてトライし続けたいです。そして、子ども達だけではなく、様々な状況や理由で、普段音楽を聴く機会がない方達との時間を得られるよう努力していきたいです。
※アウトリーチ:普段、演奏会やコンサートに足を運ぶ機会がない方に向けて、音楽に興味を持ってもらえるようホールから様々な施設へ出向きアーティストの演奏による音楽を届けること。
ーー9/7には『ワッショイ★お祭りライブ』に出演いただきます。今回はより多くの方に公演をご覧いただきたいという思いから鑑賞サポートを取り入れています。
鑑賞サポートは僕たちにとっても初めての事なんです。でもこの先、映画でもなんでもこういう事が普通になってくると思います。アーティストと劇場が一緒に考えて「今日来てよかった」「こういう雰囲気なんだ」と感じてもらえるコンサートを作る。そういう場を様々な方達と共有することは、僕らが思っている以上に大事なことだと思います。
空気を感じる、バイブスを感じる、振動を感じる、それだけでも幸せですよね。山に行ったら気持ち良いと思うし、居酒屋で楽しげな声が聞こえたら楽しいと思うし。そんな感覚と同じように音楽をホールで楽しむことが、スタンダードになると僕は思います。
音楽が好きな人の為だけの箱ではなくて皆の居場所になるといいですね。
ーー最後に『ワッショイ★お祭りライブ』の見どころがあればお聞かせください。
管楽器の音を浴びるとめっちゃハッピーになれる。管楽器の音を浴びて、ジャズの持つ自由と喜びというのを感じてもらえたら嬉しいなと思います。
ーーありがとうございました。鶴岡でのハッピーな時間を楽しみにしております!
インタビュー・編集:増子 そらの
【日時】9月7日(土) 13:30開場 14:00開演(会場:荘銀タクト鶴岡 大ホール)
【チケット料金】一般:1,500円/学生:500円/ワッショイ★セット(一般・学生セット):1,000円
※全席指定。
※当日500円増。
※3歳以上有料。3歳未満は、保護者1名につき膝上鑑賞1名まで無料(座席が必要な場合は要チケット購入)。
チケット好評販売中!良い席はお早めにお求めください!
鑑賞サポートお申込みはこちらから👉https://tact-tsuruoka.jp/20240907support
◆Profile◆
BLACK BOTTOM BRASS BANDオフィシャルサイト (bbbb1993.com)
1993年に関西で結成した日本を代表するニューオリンズスタイルブラスバンド「BLACK BOTTOM BRASS BAND」。全国各地をライブツアーで飛び回り、FUJI ROCK Fes・台中Jazz Fes などの国内外野外フェスに多数出演。また、音楽の楽しさをストレートに感じてもらうWorkShopも各地で好評を得ている。 その場を一気に「祭り」にするそのFUNKY なGROOVE が世界中を駆け抜ける!
Starting off on the streets, the Black Bottom Brass Band started picking up a
quick following then can be credited to their unique and energetic
performances.
In 1996 the band was picked up by Pony Canyon Records and later in the
year they released their first major label CD.
In 1997 the band was able to travel to New Orleans and play as well as
record in the city where many of their influenceswere born.
Their trip state side did not go unnoticed and they received several write ups
in local newspapers and magazines.
They still have many friends from the trip and continue a constant dialogue
with the city and culture of New Orleans.
Since the release of their debut album Brass Bottom BlackBand has had the
opportunity to work with artist from all sorts ofmusical genres.
They have worked with many famous Japanese artists.
They have released 17 albums since 1996.
In June 2013, we release 20th Anniversary album “HARU-UTAGE”.
Until now, the album of 17 sheets is released.
The band enjoys frequenting schools and holding workshops and mini
concerts in the hopes to spread their joy for music and inspire youth in a
positive direction.
Their wide spread sphere of activity does not stop at concerts, workshops
and collaborations, they have also produced music for film, television shows
and commercials.
Trumpet
Trombone
Soprano&Alto&Baritone Sax
Tenor Sax&Flute
Sausaphone
Snare Drum
Bass Drum&Drum set