『フィルハーモニー・オーボエ・カルテット』佐渡裕インタビュー

『フィルハーモニー・オーボエ・カルテット』佐渡裕インタビュー

12/4(水)フィルハーモニー・オーボエ・カルテットwith佐渡裕(ナレーター)で荘銀タクト鶴岡にお越しいただく、世界的指揮者の佐渡裕さんへお話しを伺いました。

@Peter Rigaud c/o Shotview Artists

ーー今回の公演は佐渡さんとベルリン・フィルのカルテットとのコラボということで、佐渡さんが思うベルリン・フィルの魅力や、『フィルハーモニー・オーボエ・カルテット』ついて教えてください。
“ベルリン・フィル”は名実ともに世界一のオーケストラで、クラシックを知らない人でも名前は聞いたことがあると思います。今回の『フィルハーモニー・オーボエ・カルテット』は、そのベルリン・フィルのメンバーで結成されました。
このオーケストラのオーボエ奏者で、僕の盟友であるクリストフ・ハルトマンさんから、ある時「日本でぜひカルテットの演奏会をやりたい」という相談を受けました。彼らはドイツやイタリアでこの企画を何回もやっていて「日本でやる時はユタカにナレーターをやってほしい!」とお願いされたのです。それで、日本での演奏会を初めて行うことになったのが、2019年のことでした。
本来ならば3時間くらいかかるモーツァルトのオペラ《魔笛》をオーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの4人で演奏し、僕が進行役として物語を進めます。ちょっとしたサプライズもあるので、楽しんでいただけると思います!
実は、この企画に僕が参加することになって、面白そうと思いつつ、《魔笛》をカルテットで演奏することに正直ピンと来ていませんでした。ですが蓋を開けてみたら、予想を上回る大好評だったんです!ですので、自信をもって鶴岡の皆さんに披露したいと思います。 

ーー今回は指揮者ではなく、“ナレーター”としての佐渡さんを拝見できる珍しい機会ですね。佐渡さんが思うナレーターの醍醐味を教えていただけますか?
人と喋る、コミュニケーションをとる、というのはもともと好きです。京都生まれの関西人の血なのでしょうか、真面目なことをやりながらつい面白いこともしたくなる気質があるので、お客様と音楽を繋ぎ、喜んでくだされば、自分の役目が果たせたなと嬉しく思います。『題名のない音楽会』というTV番組で司会をしていた経験も生きているでしょうね。
オーボエ・カルテットは珍しいアンサンブルだと思いますので、クラシックのファンでも聴きに行く機会はあまりないでしょう。オーケストラやオペラはもちろん楽しいですが、カルテットはより身近な距離で、素晴らしい名手たちの演奏技術をじっくり見て聴くことが出来ますし、4人のキャラクターが合わさった絶妙なチームワークを感じられてとても面白いと思います。

ーー佐渡さんは鶴岡にお越しいただくのは初めてだそうですね。鶴岡は歴史が深い町で、山も海もあり、食も豊かな所なのですが、何か楽しみにしていることはありますか?
本当は、2022年にこのカルテットと鶴岡での演奏会を予定していました。ですがちょうどコロナ禍で、外国人の招聘が困難な時期でしたので、残念ながら公演を断念せざるを得ませんでした。なので、今回ようやく鶴岡へ行くことができるのを、本当に嬉しく思っています。
僕自身は、山形市内なら何度か演奏会で訪れた事がありますが、鶴岡は初めてです。カルテットのメンバーも、ベルリン・フィルの日本ツアーで来日すると、どうしても東京か大阪のような大都市で公演をして、観光といっても京都や浅草に行くくらいではないでしょうか?僕も彼らも知らない東北の町を一緒に訪ねるなんて、特別な経験になるだろうと、今からわくわくしています。

ーー最後に、フィルハーモニー・オーボエ・カルテットと佐渡さんの演奏をとても楽しみにしているお客様に一言メッセージをお願いします。
奏者が4人という小さな編成でお届けする約2時間の演奏会ですが、オーケストラとは違う音楽の楽しみが濃密に詰まっています。素晴らしい奏者が1人、そこにもう1人加わって2人になればその魅力は何倍にもなります。これが4人になったら・・・名手の演奏がかけ算になって、音楽の喜びに満ち溢れた2 時間になるでしょう。そこに僕が加わって、(くれぐれも言っておきますが、僕は今回、指揮はしません!笑)モーツァルトの名作オペラの魅力を皆さんに伝えたいと思っていますので、初めてクラシックの演奏会に来る方も間違いなく楽しんで帰っていただけるはずです。鶴岡での演奏会を、僕もカルテットもとても楽しみにしています。




フィルハーモニー・オーボエ・カルテットwith佐渡裕(ナレーター)

世界最高峰ベルリン・フィルのアンサンブルと佐渡裕のコラボレーション!
佐渡裕がオペラ「魔笛」の物語をお話ししながら
「小さなオーケストラ」が珠玉の名曲を演奏する特別企画。

■日時 2024年12月4日(水)17:45開場 18:30開演予定
■料金(全席指定・税込)
 一般:6,800円 学生(22歳以下):3,000円 ※未就学児は入場不可。
■出演
 演奏:フィルハーモニー・オーボエ・カルテット
 ナレーター:佐渡裕(※指揮はしません。)

チケット好評販売中!
公演情報はこちらからご覧ください。https://tact-tsuruoka.jp/events/20241204

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Profile

フィルハーモニー・オーボエ・カルテット
弦楽トリオとオーボエというユニークな組み合わせが特徴のフィルハーモニック・オーボエ・カルテット(PoQ)は、2016年にクリストフ・ハルトマン(オーボエ)とルイス・フィリペ・コエーリョ(ヴァイオリン)、ワルター・ケスナー(ヴィオラ)、クレメンス・ヴァイゲル(チェロ)によって結成された。きっかけは2016年夏にドイツの「ランツベルグ音楽祭」にて18世紀にオーボエ奏者として活躍したフランツ・ヨーゼフ・ロシナック編曲によるモーツァルト作曲「魔笛」のオーボエ四重奏版を演奏したことである。それ以来、ドイツやイタリア、ブラジル、アメリカで数々のコンサートホールやフェスティバルで演奏を重ね、2019年秋には日本デビューを果たし、同時に初録音、モーツァルト作曲「魔笛」(ロシナック編)をリリースしている。

クリストフ・ハルトマン(オーボエ)
1965年ランツベルク・アム・レヒ生まれ。アウクスブルクのレオポルド・モーツァルト音楽院にてゲオルク・フィッシャー氏、ミュンヘン音楽大学にてギュンター・パッシン氏に師事、オーボエと室内楽の修士号を取得。在学中よりシュトゥットガルト・フィルハーモニーで活躍した後、1992年ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に入団。1999年ランツベルク夏の音楽祭を創設。それを機にアンサンブル・ベルリンを結成、ベルリン・フィルハーモニー管公認の室内楽グループである。オーボエ奏者としてEMIと契約、2008年アルバムをリリース。ベルリン・フィルハーモニー・アカデミーにて後進指導にもあたっている。

ルイス・フィリペ・コエーリョ(ヴァイオリン)
ブラジル出身。4歳よりヴァイオリンを始め、16歳でヨーロッパに渡りハンス・アイスラー音楽大学ベルリンなどにてウルフ・ヴァリンやザハール・ブロンに師事。2007~2008年ベルリン・フィルハーモニー・アカデミーにて研鑽を積み、2008年にはベルリン・フィル・アカデミーと録音したバッハの『2つのヴァイオリンのための協奏曲』でソリストを務めた。2012年ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に正式に入団。ティボール・ヴァルガ国際コンクール3位の他、数々のコンクールで入賞。使用楽器はドイツ政府所有のクレモナのロレンツォ・ストリオーニ1774年製。

ワルター・ケスナー(ヴィオラ)
ミュンスター生まれ。1987年バイエルン放送交響楽団に入団後、1989年ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に入団。ヴィオラ奏者の傍らオーケストラのアーキビストも務め、弦楽八重奏団、四重奏団など室内楽アンサンブルにも積極的に参加。シフ・アンドラーシュ、レオニダス・カヴァコス、サラ・チャン等の室内楽パートナーでもある。ユルゲン・クスマウル、キム・カシュカシアン、マイケル・トゥリーらに師事。ハンス・アイスラー音楽大学で客員教授として教鞭を執っている。上海音楽学院名誉教授。

クレメンス・ヴァイゲル(チェロ)
1968年生まれ。ヴュルツブルグ出身。6歳よりチェロを始める。ヤングスチューデントとしてトロシンゲン音楽大学で研鑽を積み、ウィーン国立音楽大学にて学士、ミュンヘン音楽大学院にて修士取得。ゲラルト・ハマン、ワルター・ノータスらに師事。ゲルトナープラッツ州立劇場に所属。ウォルフガングバウアーコンソート(バロックアンサンブル)、ロダン四重奏団、アンサンブル・ベルリン創設メンバーとして活躍。また、1999年よりミュンヘン音楽大学にて教鞭を執る。シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭のゲストコーチとしても活躍。日本でも兵庫芸術文化センター管弦楽団のゲスト・トップ・プレイヤーとして活躍している。

佐渡裕(ナレーター)
京都市立芸術大学卒業。故レナード・バーンスタイン、小澤征爾らに師事。1989年ブザンソン指揮者コンクール優勝。これまでパリ管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、ケルンWDR交響楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団等欧州の一流オーケストラに多数客演を重ねている。現在オーストリアのトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督、兵庫県立芸術文化センター芸術監督、シエナ・ウインド・オーケストラの首席指揮者を務める。最新CDは、トーンキュンストラー管を指揮した19枚目のアルバム「マーラー:交響曲第1番」(エイベックス・クラシックス)を2024年5月にリリース。

23年4月より新日本フィルハーモニー交響楽団音楽監督に就任。
オフィシャルファンサイト:http://yutaka-sado.meetsfan.jp

『フィルハーモニー・オーボエ・カルテット』佐渡裕インタビュー