Kバレエ・オプト 『踊る。遠野物語』取材ノート➌

2026年1月9日 Kバレエ・オプト 『踊る。遠野物語』取材ノート

Kバレエ・オプト 『踊る。遠野物語』取材ノート➌

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踊る。遠野物語 | K-BALLET

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〈取材ノート第3弾〉

■石橋さん・大久保さんインタビュー@Kバレエスタジオ(2025年8月28日)

バレエと舞踏が融合する今までにないダンス作品として注目されるKバレエ・オプト『踊る。遠野物語』。主人公の特攻隊員役を務めるKバレエ トウキョウ プリンシパルの石橋奨也さん(33)=青森県八戸市出身=と主人公の許嫁役を演じるKバレエ トウキョウ ソリスト大久保沙耶さん(36)=大阪府出身=に、稽古の様子や意気込みなどを聞きました。

Q、振付を手掛ける舞踊家の森山開次さんを交え、どのように稽古が進められていますか。

石橋さん

大久保さん

石橋さん)今はまだ振付を作っている段階です。森山さんは思ったことを何でも共有してくださいます。森山さんがその場で思いついたことを試してみたり、違うやり方でやってみたり。さまざまな角度から振付を考えていきます。我々もそれに対応していくのがとても面白いです。

大久保さん)ダンサーとして何か新しいものに携わる時には、振付家の意図を尊重したいという思いがあります。稽古はいつも森山さんのお話から始まります。こういうことを表現したいと、本当にクリアに丁寧に説明してくださいます。いただいた振付を自分なりの解釈で形にする場面もありますが、まずは森山さんのほしい形に表現したいと思っています。

Q、ダンサーとしての自分の強みをどう生かし、役を演じたいか教えてください。

石橋さん)個性的な悪役から王子様役まで多彩な役をやってきた経験があるので、振り幅が大きいのが自分の強みだと思っています。特攻隊員を演じるに当たって、戦争に関する資料を見て役作りの参考にしました。戦後80年に際したテレビの特集番組も目に入ってきて、さまざまな特攻隊員の物語に触れました。

今回の役は普段のバレエと違って、感情を隠すような日本人独特の心の表現があります。気持ちをぐっとこらえる、西洋とはまた違った表現です。許嫁との再会シーンもそうした心理描写が色濃く、見せ所になると思っています。

大久保さん)海外を拠点に活動していた時期も長かったので、経験の豊富さが私の強みです。たくさんの振付家と携わったり、他ジャンルのダンサーとコラボレーションをしたりする中で表現の引き出しが増え、求められることに柔軟に対応するノウハウが身に付いたと思います。

許嫁と特攻隊員が一緒に踊るシーンでは、目線に気を配っています。許嫁は、もうこの世にいない彼を感じながら踊っている設定なので、目線が真っすぐ相手を捉えることはありません。今回は許嫁役の他に、オシラサマ伝説に登場する娘役と雪女役も演じます。役の演じ分けにやりがいがありますね。許嫁役と娘役の時はやわらかいバレエシューズをはきますが、雪女役の時は人間離れした軽い動きが出るようにトウシューズをはきます。

Q、舞踏とのコラボレーションにも注目が集まります。

石橋さん)舞踏家の皆さんは踊りながら「うわー」と声を出すこともあって、迫力がすごい。舞踏というジャンルを深く知らなかったのですが、今回をきっかけに興味が沸いて、動画サイトで作品を見て学びました。バレエは体の「形」で表現する部分が大きくて、ポジションが決められています。一方で、舞踏は精神世界の表現なのではないかと感じました。形にとらわれていなくて、その場の空気と自分の気持ち、心を大切にしているように見えます。そうした違いのあるバレエと舞踏がどうまとまるのか、楽しみです。

大久保さん)舞踏とのコラボは良い刺激になっています。バレエは主に軽やかさを出すことを意識していて、ジャンプをする場面もあります。舞踏家は全く逆で、重厚感があります。学ぶことや気付きが多いですね。それでも、私たちは同じ表現者として舞台に立ちます。バレエと舞踏のエネルギーが集まった時、きっとすごいものができるのではないかと思います。

Q、青森公演は石橋さんにとって凱旋公演になる。地元のファンに一言お願いします。

石橋さん)八戸でバレエ公演ができる機会はなかなかないので、大変うれしく思っています。作品はまだ創作途中。一体どんなふうに仕上がるか分かりませんが、たくさんの人に楽しんでほしいです。東京公演を皮切りに、山形、秋田、青森、岩手、札幌を回ります。それぞれの地域やお客さんの雰囲気を感じながら公演を楽しみたいです。

Q、大久保さんから、東北の皆さんへのメッセージをお願いします。

大久保さん)この作品をきっかけにバレエに興味を持ってもらい、Kバレエ トウキョウの本公演も見てみたいと思ってもらえたらうれしいです。東北各地の暮らしを見たり、ご当地グルメを食べたりするのも楽しみです。

聞き手:千葉園子

 

2026年1月9日 Kバレエ・オプト 『踊る。遠野物語』取材ノート